
広島大学の化学の概要
実施学部 総合科学部、教育学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、生物生産学部
試験時間 60分
入試科目 化学基礎・化学
問題構成 大問4題(全て記述式問題)
広島大学の化学の傾向
例年通り
第1問理論化学(一部無機化学)
第2問理論化学
第3問有機化学
第4問有機化学
の構成で出題された。
各問題の講評
難易度は★~★★★★★でつけています。(完全に主観なので参考にならない場合はごめんなさい)
問題は載せていないので手元に問題を用意してご覧ください。
第1問【酸化還元、金属イオン】(化学基礎・化学)
問1
(i)★
最も適切な語句を記す問題。酸化還元に関する基本事項がわかっていれば難なく埋められます。
(ii)★
酸化数を記す問題。特殊なものも含まれていないので酸化数のルールを知っていれば解けます。
(3)★★
電池に関する正しい記述を選ぶ問題。電池についてしっかり整理できていないと一つに絞るのは困難かと思いますが、どれも基本事項なので解きたいところです。
問2
(i)★★
溶解度積から濃度の上限値と下限値を求める問題。溶解度積の公式に当てはめればすぐに求まりますが、溶解度積について説明できるくらいにしておかないとこの問題の意味は分からないと思います。
(ii)★★
希硝酸を加える理由として正しい記述を選ぶ問題。陽イオン系統分析についてしっかり整理できていればそこまで選ぶのに困ることはないでしょう。
全体を通して
問題集をやっていれば必ず出てくるような基本問題が並んでいる印象です。完答を目指したいところです。
第2問【気相平衡、単分子膜法】(化学基礎・化学)
問1
(i)★
容器内の圧力を求める問題。気体の状態方程式に代入して計算すればすぐに求まります。
(ii)★
容器内の物質量の総和を求める問題。化学反応式の係数比が物質量比なのでそれを利用すれば求まります。
(iii)
(1)★★
容器内の\(N_2O_4\)と\(NO_2\)を合わせた物質量を\(x\)を使った式で記す問題。化学反応式の係数比から平衡前、変化量、平衡後を書いて整理すれば求まります。
(2)★★★
\(NO_2\)の分圧を求める問題。全圧は酸素も含めることがわかるかがポイント。計算もやや複雑なので難易度は高めです。
(3)★★
圧平衡定数を求める問題。(2)と同様にして\(N_2O_4\)の分圧を求めれば圧平衡定数の式に代入してすぐに求まります。
問2
(i)★
モル濃度を求める問題。単位に注意して計算しましょう。
(ii)★★
当てはまる文字式を記す問題。一見難しそうですが分子数や密度などを理解していれば比の計算をするだけです。
(iii)★★
単分子膜の高さ\(h_2\)を求める問題。(ii)を利用して計算すれば求まります。
全体を通して
問1は気相平衡の問題で(3)は難易度が高めなので後回しで良いでしょう。問2は単分子膜法の問題であまり馴染みがないですが問題の意味がわかればそこまで難しくはないので頑張って解きましょう。
第3問【脂肪族化合物、芳香族化合物】(化学)
問1
(i)★
最も適切な試薬を選ぶ問題。芳香族化合物の基本事項なので選べるようにしましょう。
(ii)★★
双性イオンの構造式を書く問題。スルファニル酸が馴染みのない物質ですが下線部(a)に説明が書いてあるのでそれに従えば解けます。
(iii)★★★
化学反応式を書く問題。化合物Xが何かわからないと解けないのでまずは化合物Xについて考えないといけません。ジアゾ化ということがわかれば解けます。
(iv)★★
カップリングにより生じる官能基を答える問題。官能基のみを答えるだけなのでアゾ基とわかる方は多いと思います。
問2
(i)★★
発生した気体を答える問題。アルコールにナトリウムを加える反応は頻出なので答えられるようにしましょう。
(ii)★★★
化学反応式を書く問題。化合物Bもエステルということに気づいた上で化合物DとFがわからないと解けないので難易度は高めです。
(iii)★★
化合物Hの性質として正しい記述を選ぶ問題。化合物Hがアルデヒドであることが容易にわかると思うので後はアルデヒドの性質を選べるようにしましょう。
(iv)★★★
化合物AとBの構造式を書く問題。化合物Bが少し難しいですが、わからないと他の問題にも影響するので問題から読み取れるようにしましょう。
全体を通して
問1は芳香族化合物に関する問題で、スルファニル酸という馴染みのない物質が出てくるので苦戦する方も多いと思います。問2は構造決定の問題で、難易度は標準です。化合物A〜H全ての構造式を書けるように練習しましょう。
第4問【合成高分子、核酸(DNA)】(化学)
問1
(i)★
最も適切な語句を記す問題。合成繊維に関する基本事項なので書けるようにしましょう。
(ii)★
ポリ酢酸ビニルとポリビニルアルコールの構造式を書く問題。ビニロンを作る過程で重要な重合体なので書けるようにしましょう。
(iii)★★
ポリビニルアルコールが水溶性を示す理由を記述する問題。この理由は知らなくてもヒドロキシ基があるからと容易にわかると思うので頑張って書けるようにしましょう。
(iv)★
ビニルアルコールが変化して得られる化合物を答える問題。脂肪族化合物の分野でよく出る内容なので答えられるようにしましょう。
(v)★★
ポリビニルアルコールの分子量を求める問題。浸透圧が出てきましたが、ファントホッフの法則を使えばすぐに求まります。
問2
(i)
(1)★
ヌクレオチドの塩基の名称を選ぶ問題。核酸についての基本事項なので構造式から名称を答えられるようにしましょう。
(2)★★
酸素と水素結合する相手の水素を選ぶ問題。相補性についての少し細かい知識ですが覚えておくべき内容なので答えられるようにしておきましょう。
(ii)★★★
2本鎖DNAを解離させるには少なくとも何℃以上の温度が必要かを答える問題。(i)(2)の相補性についての知識がないと求めることはできないのでしっかり確認しておきましょう。
全体を通して
問1は合成高分子に関する問題でどれも基本的な内容なので完答したいところです。問2はやや細かい内容が問われているので最低でも(i)くらいは解けるようにしましょう。
広島大学の化学の対策
講義型(インプット型)参考書
『坂田アキラの面白いほどとける本シリーズ』は解説がとにかく詳しいので
学校で全く習っていない人でも取り組むことができます。
以下の3冊を取り組むと良いでしょう。
また少し難易度は上がりますがある程度学校で習った人には
『化学のDOシリーズ|鎌田の理論化学|福間の無機化学|鎌田の有機化学』もオススメです。
こちらについては以下の記事をご覧下さい。
化学のDOシリーズ|鎌田の理論化学|福間の無機化学|鎌田の有機化学
演習型(アウトプット型)参考書
高校1、2年生など時間に余裕がある人は
網羅性のある『化学の新標準演習』がオススメです。
以下の記事を参考にしてください。
また高校3年生など時間が限られている人は
『基礎問題精講』がオススメです。
以下の記事を参考にしてください。
上記の参考書ができれば
過去問へ移ることができます。
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